道に迷ってたどり着いた詩仙堂。ししおどしと可愛いお地蔵様

初夏の詩仙堂お散歩 京在住ノート



とってもお天気の良かった、五月下旬のある日。

「そうだ、新緑の詩仙堂までバイクで行ってみよう!」

そう思い立ち、五月の爽やかな風を全身に浴びながら、
白川通りを北へ、北へと愛車を走らせました。

Googleマップで入念にルートを予習していったはずなのですが、
いざ走ってみると、詩仙堂へ曲がるべき道がどうしても見当たりません。
気がつけば、目の前に現れる看板の文字は「宝ヶ池」「岩倉」……。

(あれ……?なんだか、とっても嫌な予感がする💦)

思った通り、ナビを確認すると大分と行き過ぎていました(笑)。
慌ててUターンをし、細い坂道をなんとか上って、ようやく詩仙堂に到着!

朝一番に到着して静寂を独り占めする予定が、
すっかり30分オーバーの遅刻となってしまいました。

実は京都に住んでいても、なかなか訪れる機会がなかった場所。

行ってみて感動したのですが、
ここはバイクを無料で置かせていただけるのですね。
ライダーにとって、これは本当に素晴らしい、ありがたいお寺です。

ヘルメットを脱ぎ、身なりを整えて、まずは一番最初に出迎えてくれる
「小有洞(しょうゆうどう)の門」をくぐります。

その先に続く石段は、頭上を覆う新緑が瑞々しくきらめき、
静かで、一歩進むごとに心が洗われるような風情溢れる通りでした。

石段を上りきり、もう一つ
「老梅関(ろうばいかん)の門」をくぐって、いよいよ建物の中へ。

なぜかこの時、周囲にお参りされている方の姿を全く見かけませんでした。
広い空間を贅沢に独り占めさせていただきながら、
まずはお参りをしっかりと済ませてから、お庭の見える書院の方へと向かいます。

畳の上にそっと座った、その刹那。

――かん。

と、静かな庭園を包み込むように、あのお馴染みの音が響き渡ってきました。
昨日ご紹介した、石川丈山が仕掛けた「ししおどし」の音です。
(カテゴリ、寺社巡礼の中に詩仙堂の投稿があります)

静寂の中に響くその一音は、
お堂の空気を僅かに震わせるような不思議な感覚で、
座って無になっていた私の心の中にも、すーっと深く染み渡ってきました。

書院の縁側には、お庭散策用にスリッパが用意されています。
「それでは、お邪魔します」と、それをお借りして、
いよいよ新緑のお庭へと下りてみることにしました。

詩仙堂のお庭は、歩いているだけで心がゆるむ場所でした。

丸く刈り込まれたサツキ。
池のほとりに咲くカキツバタ。
少しずつ色づき始めた紫陽花。

名前を知らない花もたくさんありましたが、それでも十分。

「きれいだなぁ」

そう思いながら歩いているだけで、なんだか心が軽くなっていきます。

こちらはしっかりと写真におさめてありますので、
ぜひ私の撮ったお写真で、
その愛らしい姿をご覧になってみてくださいね。
(ですがごめんなさい、カメラのレンズ設定を間違えピンボケしています)

池の中を気持ちよさそうに悠々と泳ぐ、美しい鯉の姿にも癒やされます。

そんな風に、お花や池をのんびり眺めていたときです。

時折、「ぶ〜ん」と耳のすぐそばで、
不穏な羽音が聞こえてくるではありませんか。

(は、ハチがいるのかも……!?💦)

音に過剰反応した私は、カメラを抱えたまま、
その場から大慌てでダッシュで逃げ出しました(笑)。
姿は見ていないのですが、あの音は絶対にハチだったはず……!

これは余談ですが、暖かい春や夏の京都の社寺巡りは、
虫たちも元気いっぱいなので皆様どうぞお気をつけくださいませ。

中には、ちょっと「どんくさい」というか、
おっとりした虫もいるようで、人間を上手に避けることができずに、
正面から思いっきりぶつかってくる子もいます。

あれ、お洋服の上からでも、
まるで小石が飛んできたかのように結構痛いんですよ(笑)。

……ハチから逃げて、
すっかり脱線してしまいましたね。もとに戻ります(笑)。

お庭を歩いている間も、何度も何度も「かん……」と、
風情ある音が聞こえてくるのに、
一向にその姿が見えない私の大好きな、ししおどし。

「どこにあるの?」となかなか見つからないので、
こうなったらもう「ししおどしと隠れんぼです!」
と心の中で勝手にゲームを開始。

お庭のあちこちを探し回り、やっと見つけた!と思ったら、
なんと割と分かりやすい場所にちょこんと佇んでいました。
どうやら、私の目が節穴だったようです(笑)。

さぁ、次はいよいよ、本日一番楽しみにしていたお地蔵様とのご対面です。

詩仙堂のお庭には、とても可愛らしいお地蔵様がいらっしゃると聞いて、
お会いするのをずっと心待ちにしていたのです。

花が咲き、鯉が泳ぎ、優しい時間が流れるお庭をさらに奥の方へと進んでいくと……。

いらっしゃいました。

木漏れ日の中にたたずむ、とっても、とっても可愛らしいお地蔵様。

想像していたよりもずっと小さくて、愛らしいお姿です。
よく見ると、あちこちに3グループの仲間たちがいらっしゃいました。

この日はあいにく望遠レンズを持っていなかったので、
一番近くにいらっしゃったお地蔵様のグループに、
心の中で「こんにちは」とご挨拶。

首を少し傾げて、優しく微笑むそのお姿をじっと眺めていると、
本当にそこだけ時間がピタッと止まってしまうかのような感覚に陥ります。
あまりに愛くるしくて、いつまででも見ていられそうでした。

そうして、お地蔵様との穏やかで温かい時間を存分に堪能したあと、
「そろそろ帰ろうかな」と、来たときとは別のルートを進んでいきました。

すると、出口に向かう最後の最後で、
言葉を失うほど幻想的な風景が目に飛び込んできたのです。

そこは、大きな木が生い茂り、少しひんやりとした日陰になっている場所でした。

生い茂る木の枝の僅かな隙間から、
朝の鋭い太陽の光が、スポットライトのように斜めに差し込んでいたのです。

その光が、新緑の緑をどこまでも深く、鮮やかに色づかせて、
まるでそこだけが切り取られたかのような、神秘的な世界を創り出していました。

ただの「お散歩」のつもりが、
最後にとんでもない自然の美しさのご褒美をいただいた気分です。

静寂さの中に、「かん」と響き渡り、心を洗ってくれる爽やかな空気。
お花やお地蔵様が織りなす、優しく穏やかで、温かく可愛らしい空気。
そして、光と影が織りなす、幻想的で神秘的な美しさを持つ空気。

爽やかで、可愛らしくて、美しい。

ピーーーンと張った静かな空気が、ししおどしの音で少しだけ優しく揺れる。
花が咲き、お地蔵様が微笑み、木漏れ日が揺れる。

そんな詩仙堂の空気に包まれていると、
忙しい日々の中でいつの間にか力の入っていた肩が、
ふっと軽くなるような気がしました。

また季節を変えて訪れたい。
そう思わせてくれる、大好きな庭園との出会いでした。

みなさんも洛北へお越しの際は、ぜひ少し道を迷いながら(笑)、
この美しい静寂に逢いに行ってみてくださいね。


御朱印は書き置き1種類のみでした。






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